みっともない話

もうこれは余りにもみっともない話なので、親戚にも誰にも話していないのだけれど、あ〜〜〜〜!もうもう話して笑い話にでもしなければ乗り切れないし、やってられない。
いくら「事実は小説より奇なり」とは言っても人生でそうそう奇なことに遭遇しやしない。
出来すぎたドラマを見ているよう。
幾つかの偶然の積み重ねは、むしろ安づくりのドラマみたいだし・・・。



次女が離婚届けを出すと決めていた日の朝、七時前の玄関チャイム。
そっと覗くと玄関前に7〜8人の男性。
ドアを開けるとテレビでお馴染みのあの場面。
パカッと見せられた金色に光るマーク。


「私、▲▲▲県警の△△△と申します。こちらに◆◆◆さん(婿殿の名前)いますね?」
瞬間、例の持ち逃げされた会社のお金の件かと思った。でも彼らの雰囲気からそんな簡単な話では無いとすぐに解った。
前夜から引越し先の家に一人移動したことを話し、案内する。
我が家から徒歩でもいくらもかからない。
道すがら離婚のことを話すと、結婚したばかり(全て調べていてお見通し)なのに離婚ですかと言いながら「後ほど詳しいお話を致しますが離婚を決めて良かったです。」と。

彼は私と顔を合わせるのは気まずいことだろうと思い、家だけ教えて帰ってきた。


次女が引越し荷物のことで話し合いに行っているのは気になったけれど、未練を残さない為にも確り立ち会った方が良いと思い、発作の事は気になったけれど賭けのような気持ちで待った。

暫くして次女が戻り、興奮状態ではあるものの確りしていて、私に「ごめんなさい」と繰り返す。
「彼犯罪者。逮捕後だと離婚届書いてもらうにもいちいち弁護士さん通さなければいけなくなるから時間とお金の無駄になる。書き終わる迄待ってあげるから早く届け出しなさいって。」
他の刑事さんが、用紙を貰うだけなら九時前でも貰えると教えてくれて、刑事さんの前から運送屋の○○ちゃん(偶然にも区役所のそばに住んでいる)に頼んで、今持ってきてもらうからと話してるうちにも届出用紙が届いて、また次女は向こうへ行った。
ちなみに家にA3サイズのプリンターがあれば離婚届の用紙はダウンロードも出来る。A3(役所に置いてある物と同じ)でなければ受け付けてもらえない。



これも偶然ながら、もしも住所を移動していなければそう簡単にはいかなかった。
たまたま我が家の住所に住民票を移した(就職活動にはキチンとした住所が必要なのに、家が中々見つからないということで)ばかり。

必要事項記入済みの離婚届用紙を持って、興奮気味で次女帰宅。
「ドラマ通り。いきなりドカドカって入ってきて取り囲まれるのね。
私には優しくてジュース買ってくれたりしたけど、でも携帯は直ぐ取られて全部チェックされた。
私には気を遣ってくれたのに〇〇が何か言うと凄く怖い声で怒ってたわ。
離婚届書き終わるのを待ってて、終わった途端(彼は)手錠かけられた。
別の刑事さんが『〇時〇分逮捕』って、本当に言ってた。
"縄付き"って意味、理解しちゃった。オントに腰に縄掛けるのね!」
これも偶然ながら彼が向こうにいたからこんな暢気に言っていられるけれど、もしも我が家に居る時だったら部屋にドカドカと踏み込まれ(いかにも刑事ドラマ的言いよう)、自分の家から”縄付き”を出すことになったかもしれない。
それでなくともご近所さんがコソコソと固まってうわさをしているのに・・・もしそうなっていたらいい笑いもの。もう十分笑いものだけれど。


もう一つ、これも偶然ながら、義母からの呼び出しで夫は前夜から実家へ行っていて留守。
もし居たらどんな修羅場が展開したか…次女との確執はもっと深いものになったのは確実。
一先ず、私と長女(これだって長女が退職して家に居なければ証人欄に困った)で証人欄に記入。


役所に提出して次女はその足で刑事さんを案内して川口へ向けて出発して行った。
冬に北海道で披露宴をする予定で、次女の部屋にはウエディングドレスやベールが出したまま。

しまうと皺になるからと気を遣って、大事に大事にそぉ〜っと掛けてあった物を大慌てで、何しろ目に付かないようにしなければと、皺になろうがどうしようが関係ない感じに仕舞う。
小物の色々も抜かりなく仕舞わなければ・・・と気は焦るけれど、結構かさばって大変。
でもどうにか結婚の”け”の字も感じなくさせて掃除も済み、カーテンやすだれもかけ替えた。
単なる離婚ならここまでする必要は無いけれど、事情が事情。
出来るだけ嫌な思いに繋がることは消しておきたい。



お粗末もお粗末。悲惨すぎて笑い出したい気分。
本当に笑い話にでもして早く終わらせたい。
慰謝料だって貰いたいくらいだけれど、そんな物より早く全ての関わりを断ち切りたいと言うのが家族全員の気持ち。

本当に次女はどこまで不幸に取りつかれるのか・・・次女を何とかするまでは元気でいなければと改めて思う。